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数奇なえにし【NARUTO】

第1章 出会いのお話


「せっかく貸したので僕としても残念ですが、そろそろ」


「待て。冗談は抜きだ。手っ取り早く使うにはどうしたらいい?」


「そんな都合のいい方法が……」


不意に言葉を切り、狡猾そうな笑みを浮かべる。


「僕と感覚を合わせること、ですかね」


「感覚を合わせる?」


「僕と深くつながればいいんですよ。
身も心も一つになれば」


「……つまり?」


そこまで聞いて、続きが分からないわけがなかった。
イタチも成人している。そういうものには疎いとはいえ、知識くらいは持ち合わせている。


「手始めにキスでもしますか」


「キス!?」


一番反応したのは唯一の女性、サクラだった。
なにを妄想しているのか、鼻から血液が流れ落ちている。


「お、おおお、男同士でそういうのしちゃうってば!?」


「やめろ、兄さんが穢れる」


「……また出任せでしょ」


三者三様の反応を眺めながら、那霧は笑みを濃くした。
本当にいい性格をしている。


「ここで話は終わりです。
では――んぐっ!」


にこやかに去ろうとした彼の肩を掴み、壁際に押しつける。
彼の軽口に付き合っている場合ではない。
もうどうにでもなれ、と割り切る。


「それならやってみるか」


「う、嘘です、嘘!
キスごときで使えるようになるか!」


イタチの本気を感じ取ったのか、那霧は全力で否定した。
全身から怒りの気配を放つと、周囲がびくりと震える。


「お前、いい加減に……」


「ちょっとは躊躇え!」


「今がどんな状況か分かってるんだろうな」


振動はますます激しくなっている。
壁が突き破られるのも時間の問題だろう。


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