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数奇なえにし【NARUTO】

第1章 出会いのお話


目が覚めると、サスケに胸倉を掴まれていた。
怒りでぎらついた双眸が自分を射抜いている。


「……サスケ」


イタチも咄嗟に状況を理解できず、弟の名前を呼ぶ。
すると、サスケははっとしたように手を離した。


「目が戻っている……兄さん、なのか?」


「目?」


要領を得ない話に眉を寄せると、カカシが近付いてくる。


「なにかがお前の身体を操っていたんだ。
その時のことは覚えてるか?」


「いえ……」


ざっと周囲を確認する。
誰も彼もが樹木に囚われて、不気味なほど静まり返っていた。
ここにいる一部を除いて、世界中の人々が無限月読にはまったのだろう。


(……あいつが呼び戻してくれなければ、俺もその中の一員だった)


あのまま夢に閉じこめられていたら、を想像するとぞっとする。
あれは幸せな夢だった。だが、所詮は夢だ。なにも解決していない。
現実を直視した今、夢から抜け出せてよかったと心の底から思った。
こんなものは平和でもなんでもない。一方的な搾取だ。


(須佐能乎を邪魔した犯人もやつか)


どういうつもりか知らないが、彼はイタチを試していたのだろう。
小さく嘆息すると、生温い風が肌を撫でた。
無限月読を発動した術者が視界の片隅に映る。
あれを倒さなければ、未来はない。
再び気を引き締めていると、にわかに突風が吹き荒れた。


「……気分はいかが?」


不意に男の声が聞こえてきた。
風がゆるりと渦巻き、白い靄が人型を形作っていく。
やがて靄が晴れ、長身の青年がそこに佇んでいた。
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