第3章 煌帝国
紅覇side
気持ちよさそうな寝顔を見つめる。
(やっぱりこの子、可愛いよねぇ……)
ま、だから手元に置いておきたかったんだけど。
「紅覇」
「なぁに、炎兄?」
「人の寝顔をじろじろ見るんじゃない」
「あっははー、そうだねぇ。つい見惚れちゃって」
はぁ……と本日二回目のため息をつかれる。
「ねぇ、炎兄。この子の怪我、いつ治る?」
治り次第、色んなところに連れてってあげないとねぇ。
みんなに紹介したいしさぁ。
「そうだな、明日にはおそらく立って歩けるようになるだろう」
「やったぁ!じゃあ明日、」
「外はまだ無理だぞ。体力的な不安がある」
うーん、それはまぁ仕方ないかぁ。
「明後日、もしくはその次の日。それならおそらく問題ない」
「はぁーい」
もう一度、少女を見つめる。
穏やかに寝息を立てる姿に、自然と顔が綻ぶ。
僕は、この子が……
好きなの、かなぁ?
……今はまだわかんないや。
「さぁて、鍛錬、鍛錬っと」
すでに扉の外へ向かっている兄の後を追う。