第3章 煌帝国
少女side
どこかを漂っているような感覚。
暗い空間が広がっている。
ここは、どこ?
ボクは、煌帝国で……。
≪……、……!≫
誰かが、ボクを、呼んでる……?
(ボクを呼んでいるのは、誰……?)
それなりに声を出したつもりだったけど、音は響かなかった。
これは、夢?
夢なの?
≪殺セ≫
ぞくり。
(誰……!)
紅覇と話している時にも聞いた、あの声。
≪殺セ。アノ男タチヲ≫
(紅覇と紅炎を……?)
≪殺セ、殺セ、皇族ヲ、煌帝国ヲ、全テ殺セ……!≫
なんで。
どうしてこの声は、殺意に満ちている?
どうしてその殺意が、煌帝国に向けられている?
どうしてこの声は、ボクに語りかける……?
≪殺シテオ仕舞イナサイ。切リ裂イテヤリナサイ≫
(ごめんね。言ってることが、よくわからないんだけど)
心の中で、声に対抗してみる。
(紅覇たちは命の恩人なんだよ。それを仇で返す気にはなれない)
≪……≫
(あんたは、一体誰なの……?)
≪イズレ、分カル時ガ来ル……≫
声が遠ざかっていく。
(待って……!答えてよ!どうして煌帝国を憎むの!)
声はもう、聞こえなかった。