第3章 煌帝国
「うわぁ……」
窓の下には、街が広がっていた。
(広い……!)
こんな街、初めて見た……。
綺麗で、明るくて、たくさんの色があって……
何より、笑顔が溢れていた。
「スラム街と、全然違う……」
「そりゃぁそうだよー」
「うわっ!?」
「あっはは、ごめんごめん。気づいてると思ってたからさぁ」
いつの間にか紅覇が横に立っていたのだ。
驚きすぎてへたり込んだボクに手を伸ばす。
「大丈夫ー?ほら、立ちなよ」
「あ……」
笑顔と共に差し出された手を見る。
一瞬、どうすればいいのかわからなかった。
こんなこと、今までになかったから。
誰一人として、
転んでも、
殴られても、
泣いても、
手を差し伸べてくれる人なんていなかったのに。
この人は……
「……っ」
「って、どうしたの?そんなに痛かったぁ?」
しゃがんで覗き込んでくる紅覇が滲む。
もっと早く、
こんな人に出会いたかった……っ
「ひっ、ぅ……」
涙が、止まらない。
慌てたように紅覇が零れる水滴を指で掬った。
「どこも怪我してなさそうだし、なんで泣いてるのか知らないけどぉ……おなか空いてるでしょー?ごはん、食べない?」
「食べ、る……っ」
「じゃあ運んでくるから、ちょっとだけ待っててねぇ」
そう言って、紅覇はボクを抱き上げた。