第3章 煌帝国
不思議な、夢を見た。
結局、あの声が誰なのか全然見当がつかない。
女性の声だった。それだけはわかる。
「……ただの、夢だ」
忘れよう。
目の前には、綺麗な天井が広がっている。
こうして急に環境が変わったことで、変に刺激を受けただけだろう。
なんでもないことだ。
「……ん」
昨日よりも、体が楽だ。
痛くない。
ゆっくりと、上体を起こしてみる。
大丈夫だ。
足も……動く。
歩けるかも……。
寝台を降りて、2,3歩歩いてみた。
「っと」
足元がふらつく。
そういえば、
「何も食べてなかった……」
突然空腹感に襲われたが、どこに行けば食べ物が貰えるのかわからない。
勝手に部屋から出て、紅覇たちとすれ違いになってもいけない。
寝台に戻ろうかとも思ったが、せっかく少しは動けるようになったのに、また寝るのは勿体ない。
窓のある壁まで移動して、桟を支えにして立った。