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王様嫌いな彼女

第2章 嫌いなアイツ


及川徹が入ってきたことで青葉城西がもっと強いことがわかる
及川徹だからこそ引き出せるチームの強さに圧倒されていたが
烏野も負けなかった、最後までやり切って
試合は青葉城西の負けとなった
そんなことよりも結果よりも私は嬉しくなった
これだよ…これ
私が追いかけてきた及川徹の後ろ姿が少しだけ見えた
嬉しくて涙が出てきた
自分を追い込んで強者でいなきゃって1人で焦って
楽しそうにバレーをしてなかった及川徹が今ここにはいない


「百瀬さん…?」

「すみませ…嬉しくて…」

「あーあ負けちゃったよゆいなちゃ…ってなんで泣いてるの!?」

「あ、及川またゆいな泣かせたのかよ何回目だよ」

「俺泣かせたことないから!誤解されるようなこと言わないでよ!!」

ほらいつも2人がここにいて

「よかったぁ…よかった…」

へなへなっと崩れ落ちると徹は私の顔を持ち上げてくる

「なんで泣いてるの?何かされた?どうしたの?」

「泣いてないっ」

「泣いてる、ゆいな言わなきゃわからない」

時々呼び捨てにされる時があってそれにドキッとしたりする

「ちょっとお前ら離れよーな」

「黙っててくださーい、俺と彼女のことなんで」

「今はうちのマネだからさ」

「だめでーす」

「っが…」

「ん?なになにゆいなちゃんなんて言ったの?」

「とーるが…徹が、楽しそうにまたバレーしてくれたからっ…嬉しいのっ……徹が…徹がぁ…」

ポタポタ零れ落ちる涙を指で掬い上げられる

「ごめん」

違う謝らせたいわけじゃない
私はどうしたいんだろう

「ゆいながお前を1番心配してたんだぞ、及川。バレーを個人競技だと思い込んで自分を苦しめたお前見てゆいなはずっとお前の心配してたんだぞ、いつか消えるかもしれないって変な妄想ばっかして」

「それ言わないでよぉ…」

徹の方を見ると手で口を押さえて
上を向いて私を抱きしめた

「はぁぁもうなにそれかわいい!ごめんね!でももうあの時の俺じゃないから安心していいよ!!心配してくれてありがとう、それで嬉しくて泣いてくれたの?」

コクコクッと頷くと優しい顔で笑って頭を撫でてくれた

「本当に泣き虫なんだから…ありがとうゆいなちゃん」


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