第7章 トラウマ
「…」
最後の試合は結局孤立して誰もボールを取ってくれなくて影山飛雄が下げられた
「…泣いてる」
可哀想、あんなにしなくてもいいのにと思ったのも事実だけどそれと同じくらい徹達はもっと苦しかったんだから当然だとも思ったりした、影山がバレーをすごくすごく愛してるのはわかってた、その気持ちは私にもわかる、だけど天才は天才のペースで前へ進んで上に上がっていく、協調性というものがない、だからこうなるのは仕方がないことなんじゃないかと考えてしまう
むしろもっと苦しめばいいのになんて最低なことを考えたくらいだった
「集合!」
「あ、はい!」
でもそんなことよりも自分のこと集中してなきゃ
これが最後になるんだから
ピーー
笛の合図と共にボールが上がる
「オーライ!」
「レフトぉ!!」
試合は順調に進んでいった
ただ油断はできない状況なのも確かだった時だった
ボトッ
「え…」
私のあげたボールが床に落ちた
「百瀬さんとれるボールにしてよぉ」
「ご、ごめんなさい」
あぁ気のせいか
わざとじゃないそう言い聞かせて試合を続けるけど何回やっても誰も取ってくれない
いつもなら取ってくれるボールですら取ってもらえなくなった
「クスクス」
笑う声が聞こえてくる
あ…わかった、わざとだ
気がついた時に遅くて監督に下げられた
「うぇ…えぇぇ…」
一生懸命やってきた
みんなのこと信頼してきたはずなのに
最後の最後で裏切られた
それが苦しくてつらくてたまらかった