DIABOLIK LOVERS-My blood-
第10章 血雫 10
待って……私は確かにこの……雰囲気を纏った人を………知っている筈で…あぁ、思い出せない……
1人黙り込み、悶々と記憶を巡っていると、自分を現実へ呼び戻す声が聞こえた。
「何故そんな阿呆の様な面を晒しているのです。私達の紹介は終わりました。次は貴女方の番ではありませんか?」
そう言えば…と、此方側の紹介をしていなかったことに気付く。
こんな見ず知らずの、しかもヴァンパイアなんかに、素性を暴露してしまっても良いのだろうか…そう思いつつも、相手側が身分を晒した手前、私達だけ晒さないと言うのも世の理に反する。
軽く意を決し、口を開く。
「しるらぎ…新羅祗 ルカ、です。高校3年、まだ17で…5月に18です。ユイとは血は繋がってないですが…色々とあって、今までは小森家でお世話になっていました。」
流石に此処は、好きな食べ物や将来の夢等は言わなくても良いだろう。
そんな冗談さえ頭の隅で考えられるようになっていた。つまりは…数分前に比べ、大分落ち着きと冷静を取り戻してきた、ということだ。
今度はユイが自己紹介をするようなので、霧の晴れない記憶を巡ることを止め、其方に思考を向ける。
「えっと……こ、小森ユイです。高校2年、今年で17です…えっと……………これくらいです…………。」
やはりオドオドと答えるユイ。強気に出てるのは相手側だから、そこに弱々しく答えるのは相手の思う壺なのに……考えていると、アヤト…が、立ち上がる。
「おい!自己紹介終わったんだろ!?だったら…どっちでも良い!!さっさと俺様にその血を寄越せ!!」
ずかずかと私達に歩み寄り怒鳴る。
「早くしねぇと、どっちも食っちまうぞ!?」
伸びてきた手が、襟を捕まえ────
「ま、まって!!」
そこで声を上げたのは、またもユイだった。