第17章 東京卍リベンジャーズ・佐藤龍星&菱小次楼
夜中
小さく寝息をたてている小次楼の隣を抜け出し
私は風呂場へと向かった
明かりをつけずに洗面台の前に立つと
泣き腫らした酷い顔が錆びた鏡にボンヤリと映っていた
蛇口をひねり
バシャバシャと水で顔を洗う
タオルで顔を拭いている時、人が入ってくる気配がした
静かにドアを閉めた龍星は
俯いている私の方へゆっくりと近付いてくる
彼の傷だらけの腕が視界に入った途端、再び涙が込み上げてきた
『…………っ……ゴメン、なさい。……龍星がそんな目にあったのは…私のせいだった…』
「違う。…オレは小次楼が壊れていくのを見ていられなくて逃げたんだ………そんな小次楼をオマエと2人きりにした。…アイツがあんな風になったのはオレのせいだ」
龍星は震える声でそう言った
けれど
(……そうじゃない…………壊れていく小次楼を…私は止めなかった。……止めたくなかった…)
私を傷つけたあの男を
血だらけの拳で殴り続けている小次楼の姿を思い出す
『……私は……小次楼と一緒に壊れようとした………壊れたかったの…』
絆みたいに
同じ罪を背負って
『…そうすれば……私でも龍星の代わりに…小次楼の側に居られると思ったから…………もう…ひとりにならなくて済むと思ったから…』
小次楼の気持ちを利用しようとした
これは
そんな私への罰だ
『……ゴメンなさい龍星………私…もうふたりの側には近付かない。…ここにも2度と来ないから…だから……許して…』
「…そ…んなこと…言うなよ…」
『でも!……もう、私達…昔みたいには戻れないよ…』
「っ…レイナ…」
龍星は苦しげに名前を呼ぶと
私の身体を腕の中に抱きしめた
「……戻れなくたっていい」
押し付けるように唇を塞ぐ
静かに離れた時
見上げた彼の瞳には、どこかで見覚えのある狂気が宿りはじめていた
「…ナァ………オレ達も…もう、壊れちまおうか…」
『……龍…星…?』
再び重ねられた唇の隙間から龍星の舌が割り込んできて、私の口腔を犯した
溶かすような激しいキスに頭の奥が痺れていく
龍星は私のTシャツをたくし上げ、ブラを外すと
さっきつけられたばかりの赤い痕に上書きするように強く吸い付いた