第17章 東京卍リベンジャーズ・佐藤龍星&菱小次楼
「………ぇ…」
また3人で過ごすことになれば、いつかは分かってしまう事だったが
それでも突然のカミングアウトに動揺した
『……っ……小…次楼…』
言葉を失っているような龍星の姿が目の端に映る
見ていられなくて視線を伏せた私の上から
小次楼の声が静かに降ってきた
「何だよ……ホントのことだろ?」
『……』
「……ナァ、レイナ…………何でまだそんな顔してんの?……龍星が帰ってきたのに…嬉しくねぇのかよ…」
『……』
「…俺達、また前みたいに一緒に居られるんだぞ?………そうなったら…レイナが喜んでくれると思ったのに……なんで笑ってくんねぇの…」
『……っ…』
恐る恐る見上げた彼の瞳には、さっきまでの狂気はどこにも無くて
ただ哀しげに揺れながら静かに私を映していた
『………小…次楼……?』
口にするのが怖くて
声が震える
『……本当に………私、の…ために……こんな事…したの?』
「………だって……約束、しただろ?……龍星取り戻して…また3人で居られるようにするって…」
『……そ…んな…』
ゆっくり顔を向けた私の視線の先に
力無く座り込んでいる龍星の姿があった
「………レイナ……オレ、ちゃんと約束守っただろ?」
掠れた声で囁くと、小次楼は私の耳元にキスする
ピチャピチャという水音が頭の中に響いた
『…………そう……だね…』
「……嬉しい、か?」
『…………ウン…………すごく…嬉しいよ…』
「……本当か?」
『…ウン。……本当だよ、小次楼…』
傷だらけの龍星がボンヤリと滲んで
目を閉じると、こめかみに熱い雫が流れた