第17章 東京卍リベンジャーズ・佐藤龍星&菱小次楼
" 小次楼が堕ちていくのをオレには止められなかったとしても…アイツの選ぶ道なら一緒にいく "
そんな龍星の覚悟に、私の胸はざわついた
けれど
彼も本心では昔みたいに笑い合いたいと思ってくれていたのだということが分かって
少しだけ、安心することもできた
(……小次楼と龍星の気持ちが通じ合っているなら…また、あの頃のような関係に戻れるかもしれない…)
ふたりの間に私が入り込む余地など少しも無かったとしても
彼らが笑顔でいてくれるならそれでいい、と
心から思えた
龍星の怪我の手当てを終えた私は
立ち上がり、急いで食事の準備に取り掛かった
あり合わせの物で作った簡単な料理
夕食が出来上がると
シャワーを浴び終えて奥の部屋で待っていた小次楼と龍星に声を掛け
久しぶりに3人でテーブルを囲んだ
小次楼はとても上機嫌で、自分から色々な話をしていた
話題のほとんどは
龍星が居なくなった後の四谷傀團のこと
" 副総長として、チームをどんな風に大きくしたか "
" 今はどんな有名なチームが傘下に入っているか " というような内容で
「龍星には、特攻隊長としてまた四谷傀團を引っ張っていって欲しい」「オレとオマエが揃えばウチはもっともっと上に行ける」と、嬉しそうに語っていた
私は斜め前に座っている龍星の腫れ上がった瞼や痛々しい腕の痣が気になって、料理の味などよく分からなかった
けれど
一緒にご飯を食べたことで以前の空気感を思い出し
龍星も私も少しずつ会話に加わるようになって
食事が終わるころには
ふたりが帰って来たときの張りつめた空気も、幾分かなごやかなものへと変わっていた