第17章 東京卍リベンジャーズ・佐藤龍星&菱小次楼
「…ナァ……嬉しいだろ?」
『………ウン』
「…良かった。………オマエに喜んで欲しくて…そのために色々頑張ったんだ」
『……ぇ……………私の……ため…?』
「あぁ…龍星が居なくなってから…ずっと元気なかったろ?……オレが側に居れば、それだけでいい……なんて…強がってたけど……本当は寂しかったよな?……でも、もう大丈夫だから…」
『……』
黙り込んでしまった私を抱きしめ、深く口付けてくる
(……バカだね、小次楼…………龍星が帰ってきても………もう私達…昔みたいには戻れないのに…)
熱いキスを受け止めながら
私は、ボンヤリとそんな事を考えていた
(………でも………1番のバカは私だ……)
小次楼には私だけじゃダメだなんて
最初から分かりきっていたことだった
それなのに
一体、何を自惚れてたんだろう
小次楼は、私のためだと言っていたけれど
私に言わせれば、龍星が居なくなってからずっと元気がなかったのは小次楼のほうで
私はそんな彼の気持ちの隙間に取り入って、側に居続けようとした
以前から
小次楼は私を大切に思ってくれていた
それは、私にもちゃんと伝わっていた
だから
現実から目を背け、小次楼も私を愛してくれているのかも知れないと繰り返し自分に言い聞かせながら
彼の温もりに縋ったのだ
小次楼が心から大切に思っているのは、昔も今も龍星だけで
私なんかが2人の間に割って入ることなど、元から出来るはずがなかったというのに
心の中が
静かに冷えていく
彼の腕の中で、熱く舌を絡め合っているのに
まるで
独りぼっちでいるような気がした
シャワーの止まる音で、私達はそっと身体を離す
「じゃあ、オレもフロ行ってくるワ。……そうだレイナ…簡単なモンでいいから、何か作ってくんねぇ?」
『…分かった…』
小次楼は笑顔で礼を言うと
龍星と入れかわるように風呂場へ入って行った