第17章 東京卍リベンジャーズ・佐藤龍星&菱小次楼
『……………龍星?……タオルと着替え、ココに置いとくね』
曇りガラスに映る人影に声をかけると
シャワーの音が止み、扉が少しだけ開いた
「………悪いな…」
『…ううん。……………ねぇ、龍星…』
「……」
『……その怪我……誰に…やられたの…?』
「……………早く、部屋に戻れ」
龍星は私の質問には答えずにただひとことそう言うと
静かに扉を閉め、再びシャワーを浴びはじめた
『……』
脱衣所から部屋の方へ戻ろうとドアを開けると、すぐ出たところに小次楼が立っていて
私は彼にぶつかってしまった
『…キャ……ゴメンなさい!』
「……」
『ゴメン…ゴメンね、小次楼…』
繰り返し謝る私に
小次楼はフッと微笑んだ
「……レイナ……どうしたんだよ…」
『…ぇ…』
「龍星が帰って来たんだぞ?…もっと喜べよ」
『…ぁ……ウン…………そう、だよね。……何か…突然だったからビックリしちゃって…』
「そっかそっか。…だよな。先に言っとかなくて悪ィ」
『…ううん…………ぁ………龍星は…今日、ここに泊まるの?』
「そーだな。……アイツいま、昔住んでたアパート出て…渋谷にあるオフクロさんの店の2階に住んでんだワ。……せっかく目ぇ覚ましたアイツを…あんな所に帰すワケにはいかねぇ…」
そう言った小次楼は、何かを思い出したかのように忌々しそうに舌打ちをする
「…チッ……よりによって渋谷なんか行きやがってよぉ…………まぁ……誰でも気の迷いってモンはあるからな………龍星がこうなったのは、オレが上手く導いてやれなかったせいもあるんだ…」
『……』
「……でも……アイツは四ツ谷[ウチ]に帰ってきた。……これからはもう…2度と間違わせねぇよ」
小次楼は私の頭にポンと手を乗せた
「…レイナ………オレ達、今日からまた昔みたいにずっと3人でいられるぞ…」
優しく髪を撫で
首を傾げるようにして近付いてくる
軽くキスをしてから離れると、彼は私の瞳を覗き込んだ