第17章 東京卍リベンジャーズ・佐藤龍星&菱小次楼
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そろそろ梅雨が明けそうな
6月も終わりのある夜
「レイナ、今からウチに来い。オレもすぐに帰る」
小次楼から電話でそう呼び出されて
私は彼の家へ行った
アパートに着いたのは、10時を過ぎた頃
それからしばらくして
階段を上がってくる足音が聞こえた
勢いよく玄関のドアが開いて、制服姿の小次楼が入ってくる
『おかえりなさい』
「オゥ」
機嫌が良さそうに笑顔で応えた彼は
片手でドアを押さえたまま、顔を外に向けた
「入れよ」
『…?』
「…どーした?…レイナが待ってるぞ」
ドアの陰から現れた人物を見て、私はハッと息を呑んだ
『……龍…星…?』
「……」
玄関の薄暗い蛍光灯の下
白い半袖シャツを着た龍星の顔や身体は、酷いリンチでも受けたように傷だらけだった
ふたりは靴を脱ぎ、私の方へ歩いてくる
彼の怪我は近くで見るとより一層痛々しかった
「レイナ、良かったな。龍星が帰って来たぞ♪」
「……久しぶり…」
何気ない言葉の裏に
どこか張りつめた空気を感じた
『…っ…』
龍星は言葉を失っている私から目を逸らすと、小次楼に「悪ィ…先にちょっと、シャワー借りるワ」と言って風呂場へ行ってしまった
シャワーの音が聞こえてくると
小次楼は奥の部屋の押し入れを開けて、ゴソゴソと何かを探しはじめる
「……レイナ……アイツの服、どこしまったっけ?」
『…ぁ………ゴメン……私が、出すよ』
我に返った私は龍星が置いていったものをまとめて入れておいた紙袋から部屋着と下着を探して取り出し、バスタオルと一緒に風呂場へ持って行った