第17章 東京卍リベンジャーズ・佐藤龍星&菱小次楼
その夜
どうしてもひとりであの部屋に居たくなかった私は、弁天様の桜の下にしゃがみこんで三毛猫の背を撫でていた
初めは警戒心の強かったこの猫も、もうすっかり懐いて、ゴロゴロと喉を鳴らしながら満足そうに目を閉じている
どのくらい時間が経っただろう
薄桃色の花びらがハラハラと風に舞う中、聞き慣れた足音が近付いてきて
顔を上げると、怪訝な表情をした小次楼の姿があった
「…こんな夜中に外で何やってんだよ」
その声に三毛猫が逃げて行く
私はノロノロと立ち上がり、小次楼の方へ歩いていった
「……鍵、ポストに入って無かったのか?」
『……』
黙ったまま首を横に振り、彼の胸元に倒れ込むように抱き付く
「…………どうした…?」
優しい声に涙が出そうになった私は
小次楼の肩に額を押し付け、大きく深呼吸した
『…………今日……渋谷で龍星を見たの…』
「……っ…」
『……龍星……同じ学校の人達と一緒だった…』
「………………そっか…」
小次楼はそれ以上何も言わずに、私をアパートの部屋へと連れて行った
玄関のドアが閉まると同時に
もう一度彼に抱き付く
頭の中に先程見た龍星の笑顔が浮かんで、私は強く目を閉じた