第17章 東京卍リベンジャーズ・佐藤龍星&菱小次楼
この部屋で独りで眠るのは嫌だから、と
いつ戻って来るかも分からない自分のことを私に待っていて欲しいと頼むところが、無性に小次楼らしいと思った
わがままで
自分勝手で
寂しがりや
独占欲と思い込みが強くて
自分の気に入った相手以外は全く眼中に無くて
一度キレると誰にも止められなくて
瞳の奥に、ゾッとするような狂気を飼ってる
小次楼は
一見すると付き合いづらく、周りの人間から怖がられていた
でも
彼は私のことを受け入れて、ずっと側に置いてくれた
龍星が居なくなってしまった後も、私を必要としてくれた
そして
私を傷つけたあの男を、許さないでくれた
あの夜
小次楼がアイツの体に馬乗りになって、顔面を何度も殴り付けている時
私はただ呆然とその様子を見ていた
見開かれた彼の瞳と
真っ赤に染まった拳
(……あの時、もしパトカーのサイレンの音が聞こえてこなかったら……私は小次楼を止めただろうか…)
あの夜から繰り返し頭の中で考えているその問いには
未だに答えが出ない
いや
本当はもう答えなど分かっている
けれど、それを認めてしまうのが怖かった
何よりも
その気持ちを彼に知られてしまうのが
私は、とても怖かった
小次楼の腕の中
胸元に耳をつけて心臓の音を聴く
そうしている間だけ、私は寒さを感じないでいられた