第17章 東京卍リベンジャーズ・佐藤龍星&菱小次楼
コンビニの店員が呼んだのか
不意にパトカーのサイレンが聞こえてきた
『…っ…小次楼……逃げなきゃ』
けれど小次楼は
既に意識のない男の顔をまだ殴り続けている
『小次楼‼︎』
私が名前を叫ぶと、小次楼はやっと手を止めた
『早く逃げて‼︎』
その声で我に返った小次郎は、立ち上がると私の手を取った
「オマエも来い!」
そして、私達は全速力で走りだした
サイレンの音が聞こえなくなるまで逃げた所で走るのをやめた小次楼は
私の手を引いたまま、何も言わずに歩き始めた
少し遠回りのルートを通って、アパートに帰ろうとしているのが分かった後も、私は黙って彼についていった
けれど
弁天様の桜の下まで来た時、私の足が止まった
「…レイナ…?」
『……』
俯いている私に
小次楼が抱き付いてくる
「………ゴメン……さっきは言い過ぎた…」
『……』
「…目障りだったなんて嘘だ。そんな事思った事もねぇのに…………龍星に裏切られて……冷静でいられなくて…」
『……』
「………本当に……ゴメン…」
今にも泣き出してしまいそうな小次楼の声
私は宥めるように
彼の背中にそっと手をあてた
「…………レイナ…」
『……私のこと……ずっと、探してくれてたの?』
私の肩口に額をつけたまま
小次楼は小さく頷く
「…っ…だって……オマエまで居なくなっちまったら……オレ…」
『私は…居なくなったりしないよ…』
幼い子供にするように髪を撫でると、小次楼の身体からフッと力が抜けていった
冷えた指先が、そっと私の頬に触れる
「……痛かっただろ…」
悲しげな彼の瞳を見て
私は幼い頃の小次楼が、よく顔や身体に痣を作っていたことを思い出した
『…小次楼が助けてくれたから、大丈夫だよ』
そう答えると
彼は2、3度パチパチと瞬きをした後、優しく微笑み返してくれた
次の瞬間
小次楼の表情が歪んだ