第17章 東京卍リベンジャーズ・佐藤龍星&菱小次楼
どのくらい歩いただろう
行くあてがなくて
独りで夜の街を彷徨った私が歩き疲れてコンビニの前でしゃがんでいると、不意に名前を呼ばれた
「レイナ?」
顔を上げると
そこには母親の再婚相手の男が立っていた
「こんな所で何してる?ずっと帰って来ないから心配してたんだぞ」
『……』
話をしたくなくて
黙ってその場を去ろうとした私の肩に男が腕を回した
「待てよ」
『ちょっと、触らないで』
「パパに向かってそんな口のきき方はないだろ?オマエが居なくて寂しかったぞ」
『アンタはパパなんかじゃない‼︎離してよ!』
「チッ…暴れんじゃねーよこのガキ、静かにしろ!」
男はイラついたようにそう言うと、私の頬を平手で殴った
唇が切れたみたいで口の中に血の味が広がった
『…っ…』
「行くとこが無いなら意地を張るのはもうやめとけ。…今日は朝までママは仕事で居ないから、パパと家に帰って、2人で仲良くしよう」
ニヤニヤと薄笑いを浮かべた男が私を抱きしめようとした
次の瞬間
バキッと音がして、男の体が地面に倒れた
顔を上げると
そこには小次楼が立っていた
「な…何だテメェは…」
「…オイ……いまレイナに何した?」
地面に倒れた男に馬乗りになって襟首を掴む
狂気をはらんだ彼の目を見て、男は顔を引きつらせた
「ま、待て‼︎…オレはレイナの父親だ‼︎」
「…は?……テメェも子供に手ぇ上げるクソ親かよ。……それじゃあ…オレが今すぐぶっ殺してやる…」
小次楼はそう言って男の顔面を何度も殴りつけた
骨ばった拳がみるみる血に塗れていく
「やめろ‼︎オレが悪かった‼︎謝るからもうやめてくれ‼︎」
「…ふざけんな……テメェみてーな野郎は生きてる価値なんかねーんだよ!」
懇願する男を無表情で見下ろしながら、執拗に殴り続ける
そんな小次楼の姿を
私は放心したように見つめていた