第17章 東京卍リベンジャーズ・佐藤龍星&菱小次楼
『……違うよ……服のとこ…』
私が白いTシャツの裾を指差すと
小次楼は「オレのじゃねぇ」と言って靴を脱ぎ、部屋へ上がった
台所の流しの前へ行き
水道の蛇口を勢いよくひねって、手を洗い始める
『……』
「………クソッ…………変わっちまったのはオマエの方だろ…………今までずっと一緒にやってきたのに…」
ブツブツとひとり言を呟いている小次楼の背中に、私はもう一度聞いた
『…ねぇ……何かあったの小次楼?…龍星はどうしたの?』
すると
小次楼は突然大声で怒鳴った
「うるせぇ‼︎」
『……っ…』
私の方を振り返ると、後ろ髪を掴んで顔を上げさせる
「………龍星龍星ウルセーんだよ……チームの奴らも………オマエも…」
『……』
見たことのない小次楼の乱暴な態度に、私は身体が固まってしまった
「…オマエさぁ…アイツの事が好きなんだろ?」
『……ぇ…』
掴んでいた私の髪を離して頬に手を添える
狂気をはらんだ瞳で私を見据えたまま、小次楼はニヤリと笑った
「見てりゃわかるよ」
『………小…次楼………私は…』
" 2人のことが好きなの "
そう言おうとした私を遮って、小次楼が言葉を続けた
「良かったな。…アイツも前にオマエの事が好きだって言ってた」
頭が混乱して話の内容についていけないでいると、小次楼の表情から揶揄うような笑みが消えた
「………レイナ……いくら待ってもアイツはもうここには帰って来ねーよ」
言い聞かせるように、真っ直ぐ目を見つめる
「龍星はオレを裏切った。…オマエの事も捨てたんだ」
いつもの掠れ声が
微かに震えていた
「………だからさ……もう、そんなんじゃ…オマエもここに来る意味なんかねーだろ?」
『…ぇ』
「出てけ」
小次楼はそう言うと、私に背中を向けた
『……小…次楼…?』
「聞こえなかったか?……出てけよ」
『……』
「…ずっと目障りだったんだよ。………もう二度と来んな」
氷のような冷たい声に、それ以上何も言い返すことはできなかった
私はノロノロと玄関へ行き、靴を履くと
ドア開けて外へ出て行った