第17章 東京卍リベンジャーズ・佐藤龍星&菱小次楼
一緒に晩ごはんを食べた後は、いつものように交代で風呂に入った
最後に入った私が、掃除も終えて風呂場から出ると
小次楼と龍星がちょうど玄関で靴を履いているところだった
「…レイナ、行ってくる」
「今日も何時に帰るか分かんねーから、先寝てろ」
『……ぁ……ウン…』
小次楼は小型の折りたたみナイフをポケットにしまうと「じゃーな」と言ってドアを開けて出て行った
不安そうな私と目が合った龍星は
何も言わずに小さく頷いて外へ出ると、静かにドアを閉めた
『……』
ひとりきりになると
小次楼のアパートは、とても広く感じた
もうとっくに見慣れた部屋のはずなのに、ここに居てもいいのかと不安になる
それが嫌だった私はすぐに電気を消すと
部屋の奥へ歩いていき、布団の上にペタリと座った
『……』
このところほとんど毎日のように
2人の帰りを待ちながら眠れない夜を過ごしていた
寂しい訳ではなかったけれど
漠然とした不安が襲ってきて、胸が苦しくなる
掛け布団を抱きしめると小次楼と龍星の香りが混じり合って、私の鼻先をくすぐった
『……………寒い…』
顔を上げると
まあるい月がボンヤリと光って、夏の終わりを告げていた
*
2003年9月のある日
夏休みが終わり、学校が始まってからも小次楼の家に入り浸っていた私は
この夜も2人を見送った後、アパートでひとり留守番をしていた
明かりを消した部屋で布団に横になっていると
いつもより早い時間に玄関のドアが空き、小次楼が帰ってきた
『…おかえりなさい』
「……」
小次楼は何も答えず
玄関に立ち尽くしている
『……』
普段と違う様子に嫌な予感を感じた私は
身体を起こし、彼の側へ行った
『…龍星は?一緒じゃないの?』
「……」
ふと小次楼の服を見ると、小さな赤いシミが付いている部分があった
『…小次楼、ケガしたの?血が付いてる…』
私の言葉に小次楼はハッとして自分の両手を見た