第17章 東京卍リベンジャーズ・佐藤龍星&菱小次楼
少し前にチームの副総長になったという話を、小次楼から聞いた
「ちなみに龍星は特攻隊長だ♪ピッタリだと思わねぇ?」
『んー。よく分かんない』
「んだよレイナ、張り合いねーなぁ……なぁ、見てみろってこのトップク!似合うだろ?」
『…洗濯が大変そうとしか思わない』
「はぁ⁇……オマエなぁ…」
" 四谷傀團 " と刺繍が入った白い特攻服
ソレを着て出掛けることが、少しずつ増えていく
幼い頃からずっと龍星と2人きりでつるんでいた小次楼は、チームの存在に気分が高揚しているように見えた
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『……最近の小次楼……なんか、怖いよ…』
喧嘩やチームの話をする時
彼の目にゾッとするような狂気が宿ることに、少し前から気が付いていた
「……」
『…あんなの持ってたら……いつか…誰かを刺しちゃうんじゃないかな………っ…もしそんな事になったら、私…』
ずっと不安だったことを口に出した途端、思わず声が震えた
「大丈夫だ」
見上げると、そこには龍星の哀しげな横顔があった
少し前に首元に入れた蛇のタトゥが、青白い蛍光灯の明かりに浮かび上がって、コチラを見つめ返している
「…そんな事…させねぇよ」
『……』
言葉に詰まってしまった私の方へ、龍星がゆっくりと顔を向けた
「……なぁ、レイナ…」
『…ん?』
「………オマエ、さ……小次楼のこと…」
『……?…』
「…………………いや、なんでもない…」
『………龍星…?』
言葉の続きを濁して目を逸らした龍星は、自分自身に言い聞かせるように言った
「…小次楼は…オレが絶対に守る…」
『……』
「……だから心配すんな」
私を励ますように微笑み、「…ヨシ。飯にしよーぜ」と言って料理の乗った皿をテーブルの方へ運びはじめる
「できたぞ小次楼、ソレ片付けろ…」
「おー…ウワ!スゲ〜美味そ♪」
テーブルの上に置かれた皿に小次楼がサッと手を伸ばす
「オイ、つまみ食いすんな!」
「美味っ‼︎…コレめちゃくちゃウメぇぞ龍星♪早く食おーぜ」
「小次楼、落ち着けって。ステイ」
「犬みてーに言うんじゃねぇ」
好物を前に目を輝かせる小次楼の表情は、前と何も変わっていなくて
じゃれ合う2人を見ていると、不安な気持ちは薄れていった