第17章 東京卍リベンジャーズ・佐藤龍星&菱小次楼
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「レイナ♪これ、カッコ良くね?」
ある夜、小次楼がバタフライナイフを見せてきた
『…どうしたのソレ』
「昨日ケンカ売ってきたヤツが持ってたから、もらっといた」
小次楼は嬉しそうにそう言うと利き手の左手でナイフを持ち、ぎこちない仕草で開いたり閉じたりし始めた
カチャカチャという金属音が部屋に響く
「……やっぱ練習しないと難しいな…」
『…ちょっ……見てて怖いんだけど…………指切らないように気を付けて…』
「へーきへーき」
カチャカチャ、パチン
カチャカチャ、パチン
「…小次楼……ケンカの時はそんなモン使うなよ?」
さっきから黙っていた龍星が溜まりかねたように口を開くと、小次楼はナイフから目を離さないまま言った
「何で?殴るとコッチも手が痛てぇじゃん。…これがありゃスゲー楽だワ」
「…っオマエ」
「何だよ…脅しになるって話だろ?……殴らなくても、チョットちらつかせりゃ逃げてくから楽だって言ってんだよ」
魅せられたように刃先をウットリと見つめる小次楼に、龍星はずっと咎めるような視線を送っていた
その日から小次楼は、色々なナイフを集めはじめた
片手で刃がたためるものや、指を通す輪がついているものなど
いくつもテーブルの上に並べては、取り憑かれたようにナイフさばきの練習を繰り返す
そんな彼のことを、龍星も私もとても心配していた
『…小次楼……アレ持ち歩いてるの?』
台所で食事の支度をしながら、隣で盛り付けを手伝ってくれている龍星に小声で聞いてみると
彼は何も言わずにコクリと頷いた
『……』
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