第17章 東京卍リベンジャーズ・佐藤龍星&菱小次楼
長かった梅雨が開け、季節は夏にかわった
それまで、私が小次楼のアパートに泊めてもらうのは週末や祝日の前日が多かったが
学校が夏休みに入ったことで平日もほとんど家に帰らなくなった
母親はそんな私を心配するどころかむしろ清々しているような感じで
たまに顔を合わせると「アラ、今日は居るのね」と疎ましそうに言ってくるほどだった
元々居場所のなかった自分の家が、更に帰りづらい場所になっていくと同時に
淋しさと孤独から逃げ込むように身を寄せた小次楼の部屋が
私を受け入れてくれた2人のことが
私のなかではより一層、かけがえのない存在になっていった
小次楼と龍星と一緒に居られたら
他にはもう、何も要らなかった
彼らに望まれたなら、全てを差し出す覚悟はできていた
けれど
2人とも、未だにキス以上のことを私にしてはこなかった