第17章 東京卍リベンジャーズ・佐藤龍星&菱小次楼
『……分からない…?…………小次楼も………龍星も………私にとってすごく大切な人なんだよ…』
私は両手で小次楼の頬を包むように触れると
彼の唇に心を込めてキスした
チュ…
次に龍星の方へ身体を向け、思いきり背伸びをして
首に腕を絡めて引き寄せ
同じようにキスをする
チュ…
『………2人とも……大好き…』
こんな私に居場所をくれた、大切な大切な人
やっと想いを告げることが出来てスッキリした私は
『そろそろ、寝るね』と言って奥の部屋へと歩いて行くと、そのまま布団の真ん中に潜り込んだ
しばらくの間
玄関の方で2人の話し声がしていた
声が途切れると、カチカチッと音がして部屋の電気が消え、2人が布団の中へ入ってきた
右隣から小次楼の腕が伸びてきて、腰の辺りにスルスルと抱き付く
「…レイナ………許してくれて…ありがとな…」
『……』
「………………オマエが出てった時………このまま帰って来なかったらどうしようって………オレ、スゲー怖かった…」
こんな弱々しい小次楼の声を聞いたのは、初めてだった
私は小次楼と向かい合わせになるように寝返りをうつと、華奢な彼の身体をそっと抱きしめた
『……そんな事ある訳ない。……2人が側に置いてくれるなら……私はずっと、一緒にいるよ…』
そう言った私の首筋に、龍星の長い腕が巻き付いて
背中を包むように抱きしめられた
2人の鼓動と温もりが全身に伝わって
今まで誰にも触れさせたことのなかった心の深い場所が、幸せで満たされていくのを感じた
『………大好きだよ…』
もう一度呟いて
静かに目を閉じる
その夜に見たのは
私達以外、誰も居ない世界で
満開に咲いた弁天様の桜の木を3人で見上げている夢だった