第17章 東京卍リベンジャーズ・佐藤龍星&菱小次楼
「レイナ!待てよ!」
龍星の声が聞こえたが、私は足を止めなかった
「待てって!」
アパートの階段を駆け降りて必死で走ったのに、足の速い龍星にはスグに追いつかれて
弁天様の桜の木の前で、強く腕を掴まれた
「どこ行くんだよ!」
『どこだっていいでしょ…放っといて』
「……レイナ…」
『…………っ…酷いよ、2人とも……私は練習道具じゃない!』
堪えていたものが溢れて、ポロポロと零れ落ちる
『……初めて…だったのに…』
「…ぇ………オマエ…初めてじゃないって言ってたろ…」
『私は答えたくないって言っただけ!…なのに小次楼が勝手に…っ…』
「………あー……そうだな。…………っゴメン!…オレ達が完全に悪かった」
龍星は素直に認めると、私に深々と頭を下げた
「……レイナ…………本当に、ゴメン…」
『……………龍星…』
「……………………頼むから………許して…くんねーか…」
『……』
「………小次楼も……きっと謝りてぇと思う。……………だから………………一緒に、帰ろ…?」
『………………ウン…』
裸足のまま飛び出してきた私は
龍星の背中におぶわれて帰った
玄関のドアが開くと
私に突き飛ばされたままの場所に座り込んでいた小次楼がハッと顔を上げた
弾かれたように立ち上がり、床の上に降ろされた私の方へ近づいてくる
「……レイナ………さっきはゴメン。……オレ…オマエのこと傷付けるつもりはなかったんだ…」
『……』
「…その………オマエが…そんなに嫌がると思ってなくて…」
小次楼の言葉を遮るように、私は顔を上げて言った
『嫌がってなんかない…』
「……ぇ…」
『………嫌だなんて……思う訳ないでしょ…』
2人の目を見ながら
偽りのない気持ちを伝える