第16章 東京卍リベンジャーズ・佐野万次郎
『……私、そろそろ帰らなきゃ…』
「………分かった。……じゃあ、送ってく…」
『…ぇ……近いんだから大丈夫だよ…』
「いーから。…送らせろ」
『………クスクス………分かった。…ありがと万次郎…』
俺とレイナは身支度を整え、2人で外へ出た
彼女の家は
ウチから5分もかからない所にあった
場地が小学生の頃に住んでいた家からは30秒も要らないくらいで
すぐ目の前には、低学年の頃までよく一緒に遊んでいた公園があった
「……」
レイナと公園の横を歩いていると
昔の記憶が鮮明に頭の中に浮かんでくる
子犬みたいに走り回る姿と、無邪気な笑い声
この辺りには
未だにアイツの気配が残っていた
(……ここに住んでるレイナも………まだ…あの頃のこと思い出したりすんのかな…)
一緒に過ごした時間が長い分、思い出もたくさんあるだろう
(……そんな場所がこんな近くにあったら……やっぱ…キツいだろうな…)
場地が死んでから
道場の方へ行くのを何となく避けていた俺は
彼女の気持ちを想像して、思わず俯いた
「……」
『……万次郎……まだ、時間ある?』
顔を上げると
いつの間にかコチラを向いていたレイナと目が合う
「…あぁ………今日は何も予定ねぇよ」
『じゃあ、ちょっと遊んでこ?』
「……ぇ…」
彼女は俺の手を取り、公園の中へ入っていく
そして
ブランコの前で手を離すと
ひとりで立ち漕ぎを始めた
『…何か、すっごく久しぶりな気がする。……万次郎もやろーよ』
「……」
言われるまま俺はブランコのチェーンを両手で握ると
大きく後ろへ下がり、反動をつけて板の上に飛び乗った
キコキコと音を鳴らしながら
前後に揺れる
しばらくすると
気が済んだのか、レイナはブランコを止めた
『次は滑り台やろ♪』