• テキストサイズ

裏夢・短編 詰め合わせ【東リベ etc.】R18

第16章 東京卍リベンジャーズ・佐野万次郎





チマチマとした階段を登って、しゃがんだ姿勢のまま滑り降りる


「……は?……こんなんだったっけ…」

『…クスクス………ウン。こんなんだったよ』

「つまんねー」

『それじゃ…今度は何にする?』

「…んー…………アレ。」




俺はそう言ってジャングルジムの方へ歩いていった


「何か、ちっちぇーな…」と文句を垂れながら登り、てっぺんに立って腕を組む

見下ろした景色は
あの頃と同じものだった


「おー。…懐かしー」

『…万次郎、その場所好きだったよね。……昔…よく圭介と取り合いしてた…』

「……あぁ…」


後から登ってきたレイナが足元のパイプに腰かけたので、俺も並んで座った




顔を上げると
幾つもの星が空に光っていた


俺の視線を追って
レイナも顔を上げる

しばらくの間、俺たちは黙って星を見ていた









『………ねぇ……万次郎…』


不意に
レイナの声がした


『……ひとつ……お願いがあるんだけど…』

「…何だよ…」


彼女はコチラへ視線を移すと
俺の目をじっと見つめた


『…………万次郎は………どこにも行かないで…?』

「……っ…」

『………私を置いて……居なくならないで…』


祈るような声と共に
瞳に透明な膜が張っていく


『……………お願い…』

「……」


俺は彼女の肩に腕を回し
そっと自分の方へ抱き寄せた


「………………分かった…」

『………本当…?……ちゃんと…約束してくれる?』

「………ウン。………約束する…」

『………………ありがと…』




レイナが
安心したように優しく微笑む



潤んだ瞳がゆっくりと閉じられて
一粒の透明な雫がキラキラと溢れ落ちた






(……オマエが望むなら……オレはもう迷わない…)





心の中でそう誓いながら
レイナの唇にそっと口付けた














大切な人の亡骸が

空へと還った夜







俺たちは思い出を上書きするように

ジャングルジムの上で何度もキスをした














この約束が


いずれ
互いを傷付けることになるとも知らずに…







/ 655ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp