第10章 東京卍リベンジャーズ・三ツ谷隆
集会などで夜、家を留守にする時には
仕事で居ない母親に代わり
よく妹たちのことを見てもらっていた
2005年の夏休み
83抗争があった日も
ルナとマナを連れて4人で武蔵祭りへ行く約束をしていたのに
直前でオレに呼び出しがかかって
結局彼女に押し付ける形になってしまった
日付けが変わってから帰宅すると
薄暗い部屋の中で彼女の影が起き上がった
『おかえり…すごい雨だったね』
レイナはそう言うと
ルナとマナが眠っている部屋の襖を閉めた
『お祭りの途中で降ってきたから…急いで帰ったんだ……お風呂借りて3人で入っちゃった』
「…そっか」
『……添い寝してたらいつの間にか私まで寝てたみたい………あ、2人の浴衣の裾に泥がついちゃったから洗濯してたんだった……雨上がったんだよね?…ちょっと干してくるね…』
「…オレがやるよ……悪かったな…こんな時間まで…」
『いーの。家に帰ってもひとりでやる事ないし』
「……」
『…うわ……隆の服もドロドロだよ?……早くシャワー浴びてきなよ』
「おー…ありがとな」
シャワーを浴び
下着と短パンだけを身に付けて
タオルで頭を拭きながら風呂場を出ると
レイナがギョッとした顔でオレを見ていた
「…?…」
『……何……そのカラダ…』
総勢100人の愛美愛主とぶつかったその日は
いつも以上に全身ケガだらけだった
『……っ……早く…手当てしなきゃ…』
青ざめた顔で薬箱を取りに行こうとするレイナの肩を掴む
「…後でいい」
『でも…』
オレは少し強引に彼女を引き寄せ
腕の中に包むように抱きしめた
『…隆?』
「……動くなって…」
抵抗をやめたレイナの身体から
ゆるゆると力が抜けていくのが分かった
「…………………ハァ………疲れた…」
『……フフ………珍しいね…隆がそんな事言うなんて…』
「……悪い」
『…ううん……嬉しいよ…』
レイナはそう言うと
優しく背中をさすってくれる
首筋に顔を埋めて深く息を吸い込むと
それだけで身体がフッと軽くなったような気がした