第10章 東京卍リベンジャーズ・三ツ谷隆
2人の時間は穏やかに流れ
オレもレイナも中学生になった
裁縫が好きだったオレは
同じ中学のパーちんとペーやんに手伝ってもらい
部員が居なくて廃部寸前だった手芸部を立て直すことにした
部員勧誘の為に行ったイベントでは
調理部に入部していたレイナも色々と力を貸してくれ
お祭り騒ぎのような企画は無事に成功して
部員が集まった手芸部で、オレは部長になった
午後の部活が終わり、昇降口へ行くと
壁に寄りかかっていたレイナが『お疲れさま』と微笑む
彼女の横で、しゃがみ込んだパーちんとペーやんが
口をモグモグ動かしながら「「お疲れ」」と言うのは
もう、定番の風景だ
「お疲れ〜……いい匂いしてたけど…調理部、何作ってたんだ?」
『今日はクッキー焼いたの』
「…うめぇぞ…三ツ谷も食うか?」
オレはパーちんが差し出した袋の中を覗いた
「…パーちん……食うかっつったって…もう入ってねぇじゃん…」
「……あ……ワリィ」
『今日のクッキー、すごい好評だったね』
「先週のシフォンケーキも美味かったぞ」
『わーホント?次も多めに作るから、また感想聞かせてね』
「…んー。…明後日の金曜日がプリンで…来週火曜がカレーパンだろ?…よろしくな」
「クスクス……すげぇなパーちん…調理部の予定表覚えてんのかよ…」
「…三ツ谷…パーちんの脳みそは食いもんの記憶力だけはバツグンなんだぞ」
校門の所で2人と別れると
レイナはカバンから小さな袋を取り出した
『ハイ。…隆のぶん』
「…ん。ありがと」
『…それと…コッチの包みはルナとマナにあげてね』
「…お、かわいいじゃんこのラッピング……喜ぶよアイツら………………うわ。…マジでうめぇなこのクッキー…」
『エヘヘ…良かった』
学校での生活は
毎日がこんな風に平和だった
その一方で、中1の6月
オレは仲間たちと"東京卍會 " というチームを結成した
ドラケンから始まった出会いは
マイキー、場地、パーちん、一虎と広がり
武蔵神社を拠点にたむろしていたこの6人が創設メンバーとなってできた東卍は
9代目黒龍を潰し、次第に東京で名をあげていった