第10章 東京卍リベンジャーズ・三ツ谷隆
「…声、デケーよ」
『…っ…隆が急にあんな事聞いてくるからでしょ⁇』
顔を真っ赤にして動揺するレイナに
理由を説明する
「……アイツらにさぁ…聞かれたんだよ………オレとオマエが……その…………付き合ってんのか?…って…」
オレの言葉に
レイナは頬をこわばらせた
『…ぇ……それで…何て答えたの?』
「……オレら…付き合ってる訳じゃねーから……" 別にどうだっていいだろ "…って言って…ごまかしたけど…」
『……そ……そっかぁ…』
彼女は脱力したようにヘラリと笑うと
視線を逸らして下を向いた
『……そう…だよね…』
下唇を噛んでいる彼女を見つめながら
オレは言葉を続けた
「……後になってから…何でそんな風に答えたんだろって考えて……やっと気が付いた…」
『……』
「…オレさぁ………あン時……アイツらの前で…" レイナとは付き合ってない "って…どうしても言いたくなかったんだよ…………オマエのこと……絶対に取られたくなかった…」
『………ぇ……』
オレの言葉に
彼女が顔を上げた
「……今さら…って感じたならゴメンな………レイナがオレをどう思ってるのかとか…どんな気持ちで一緒に居てくれてるのかとか……今までちゃんと考えたこと無かったんだ………でもさ………もし……オマエが…オレのこと……友達じゃなくて…男として見てくれてんだったら…」
オレは
レイナの瞳を真っ直ぐに見つめて言った
「…オレと……付き合ってくんねぇか?」
見開かれていた丸い目が
柔らかく細められていく
『………嬉しい………ありがと隆……』
そう言って微笑むレイナを見て
これまでも彼女の笑顔がずっと自分の側にあったことを
改めて思い出した
小さな肩を引き寄せ
そっと抱きしめると
欠けていたパーツが合わさったように
彼女の身体が腕の中にピッタリと収まった
「………オレの方こそ………ありがとな…レイナ…」
合わせた胸から
互いの心音が伝わる
古びたアパートの
薄暗い玄関で
オレ達は
やっと見つけた片割れ同士のように
いつまでも
いつまでも
寄り添っていた