第10章 東京卍リベンジャーズ・三ツ谷隆
あの夜
安心できる相手に寄りかかる心地良さをオレは初めて知り
レイナはこれまで以上に特別な存在になった
" 家族を大事にする不良になる " と決意したオレは
その証としてツーブロに剃った頭の右側にタトゥーを入れることにした
デザイン画をビッシリと書き溜めたノートをスタジオに持ち込んで
料金の代わりにしてもらえないかと交渉すると
彫り師のオニーサンは快くOKしてくれた
彫ってもらったのは
家出をしたあの夜、大きな壁一面に青いスプレーで描いた龍だった
タトゥーを入れた後
オレは決意表明をするため、家出した夜に知り合ったドラケンに会いに行った
渋谷の街を探し歩き、やっと見つけたドラケンの左の側頭には
オレと同じ龍が彫られていた
「……オマエが髪伸ばせよ?…カルビ丼と交換したろ?その龍はオレのモンだ‼︎」
ドラケンにそう押し切られたオレは
入れたばかりのタトゥーを髪の毛で隠すことになってしまった
その頃から、街ですれ違った悪そうな奴に絡まれるようになり
元々腕っぷしに自信があったオレは
売られたケンカを買っていくうちに、いつの間にか原宿界隈で有名になっていた
マイキーとオレを引き合わせたのもドラケンだった
暴走族 "罰漢"の総長をノシてその名を轟かした
七小の同年[タメ]、佐野万次郎
どんだけゴツいバケモンかと思っていたのに
想像とは全く違い、小柄な身体をした仲間想いの面白い奴だった
それでも一度喧嘩になれば最強であることに間違いはなく
相手が高校生だろうが何人居ようが余裕で倒してしまうマイキーに対して
オレもドラケンと同じように憧れを抱き、彼について行こうと心に決めた