第7章 東京卍リベンジャーズ・三途春千夜
空港直通のチケットを買って乗り場へ行くと
既に目当てのバスは到着していた
彼女のパスポートと航空券、スーツケースを差し出す
『………ぇ……』
「……まだ飛行機の時間まで余裕はある……ここからはひとりで行けるな?」
『………ハル?』
「…………2人でいるとどうしても目立つ……オレは少し時期をずらしてから行くことにする…」
『……ゃ……そんなの嫌だよ!』
取り乱すレイナの頬に手を添えて落ち着かせる
バスが発車のアナウンスを始めた
「……聞け……スーツケースの底にカネと金塊が入ってる……センサーには引っかからないようになってるから安心しろ………空港を出て安全な場所に行くまでは下のファスナーを絶対に開けるな…」
『……ハル………私…怖いよ…』
「…大丈夫だ……必ず上手くいく…………オレを信じろって…」
『……………ハ…ル…』
オレは
彼女の胸のペンダントに触れた
「……なぁ………このお守り…借りてもいいか?」
『………うん。…もちろんだよ……ハルが持ってて…』
泣き出してしまったレイナの唇にキスをして
彼女の首にかかったペンダントを外した
「……じゃあ……早くバスに乗れ……」
『……』
濡れた頬を拭ってやり、瞳を真っ直ぐに見つめて頷くと
レイナは渋々パスポートとチケット、スーツケースを手にした
「…レイナ?」
ステップを上がっていく背中に
声を掛けた
『……?…』
「………オレたちの寝室は…オマエの趣味でいい………コーヒー用のカップ……オレの分も忘れずに買っとけよ?」
その言葉を聞いた彼女は安心したように頷くと
『任せて』と言って笑った
小さくなるバスの窓を
オレはいつまでも見つめていた
(………悪いな…………約束は…守れそうにない…………でも………アンタのことだけは…オレが必ず自由にしてやるから……)