第7章 東京卍リベンジャーズ・三途春千夜
数時間後
港の倉庫
冷凍餌のクラッシャーの前で立ちすくんでいる所を見つかったオレは
すぐに幹部たちに囲まれた
「……殺したのか……三途…?」
血まみれの手に持った彼女のペンダントを見て、そうオレに聞いてきた蘭は
何故か頭に包帯を巻いていた
「…………悪いかよ…」
そう答えた瞬間
マイキーがオレをぶん殴った
仰向けに倒れたオレの身体に
馬乗りになって殴り続ける
骨の折れる音が頭の中で聞こえ
片目が見えなくなった
「……こうならないようにオマエから離したのに……無駄だったようだな…」
「……」
「………レイナに惚れたのか?………本気だったのか?………答えろ三途…」
「…………あぁ………王の前で…こんなマヌケな醜態晒すくらいには…本気でしたよ…」
「……じゃあ………なぜ殺した…?」
「…………あの女もオレと同じ気持ちだと思って…やっとの思いでマンションからさらってやったのに……『Kingの方がいい』だなんて抜かしやがって……オレの信用を裏切ったんです…………" 裏切り者はスクラップ "……それがオレらの掟でしょう?」
「……テメェ…」
銃を取り出したマイキーがオレの髪を掴んだ
身体を起き上がらせ、膝立ちにさせる
「……三途………最後に言いたいことはあるか…」
「………………………女なんかに…………惚れるモンじゃねぇ…」
(………これは本音だ…………でも……こんな穏やかな気持ちで死ねるのは…アンタのおかげだな…)
目を閉じてペンダントを握りしめ
満ち足りた気持ちで彼女の笑顔を想った
(……生まれてきて良かったなんて思ったことは一度もねぇ……けど………こんなオレの命と引き換えに…アンタに生きてく場所を与えてやれるなら……このクソみてぇな人生も無駄じゃなかったってワケだ…)
こめかみに銃口の感触を感じながら
オレは微笑んだ
(……心残りは何もねぇ………ありがとな…レイナ…)
安全装置を外す音が
すぐ耳元で聞こえた…
三途春千夜 夢小説『幾千の夜を君に捧ぐ』end.