第7章 東京卍リベンジャーズ・三途春千夜
眠りから覚めると
辺りは真っ暗になっていた
少し離れた暖炉の方で
オレンジ色の炎がチカチカと弱く揺れている
「……」
暗がりの中で
腕の中の温もりを確かめた
『……ハル?』
「……悪い……起こしたか?」
『……ん……大丈夫………どうしたの?モゾモゾして…』
「……………何でもねぇ……」
バツの悪さを感じたオレは起き上がり
手探りで脱ぎ捨てた服を着た
『……どこ行くの?』
「……薪を足してくる…」
『……じゃあ……私は目覚ましにコーヒーでも入れようかな………ハルも飲…』
「飲む」
『……クスクス………分かった……すぐ入れるね…』
レイナは笑いながらそう言うと
落ちていたニットを拾い上げて袖を通した
柔らかな暖炉の光に包まれた部屋で
ソファの上に並んで
レイナが入れたコーヒーを飲んだ
束の間の安らぎに水を差したくなかったが
これからの話をしておかなければならなかった
「……アンタが居なくなった事は…今朝の時点でバレてる……オレと一緒に逃げたことも…」
『……』
「………車は隠したが……ウチの連中が本気になって探せば…この場所が見つかるのは時間の問題だ……日本中…どこにも逃げ場所なんて無い………梵天は…そういう組織だ…」
『……じゃあ……どうしたらいいの?』
不安そうな顔の彼女を抱き寄せて
自分の考えたことを話した
それは
レイナの母親がいる国へ高飛びし
3人で暮らすという計画だった
話を聞いたレイナは驚き
そんなことができるのかと聞いた
「……アンタの母親はいま□▽という街で暮らしてる……現地に着いて調べればすぐに居場所は分かるはずだ………パスポートも作らせたし金もある……きっと大丈夫だ…」
『……』
「………ウチの連中もその線を真っ先に調べるに決まってる……だから…裏をかいてすぐに空港には向かわなかったんだ………ほとぼりが覚めた頃に高飛びすればまずバレねぇ…」
『………………ハル……………私………もう一度ママに会えるの…?』
「………あぁ………向こうに家を買って一緒に暮らせばいい…」
そう言ったオレに
レイナは泣きながら抱きついた
『………夢…みたい…………夢みたいだよハル…………本当に…ありがとう…』