第7章 東京卍リベンジャーズ・三途春千夜
なるべく裏道を駆使しながら
夜通し車を飛ばす
目当ての別荘地は
予想通りオフシーズンに入り閑散としていた
木々の間に隠すように車を停め
後ろへまわりトランクを開けた
少し眩しそうに目を細めながら
レイナがオレを呼ぶ
『……ハル…?』
「………もう大丈夫だ……誰にもつけられてねぇ…」
彼女は弾かれたように身体を起こすと
首にしがみついてきた
『……良かった…』
「……」
レイナを抱き上げ
そっと地面に降ろした後
助手席からスーツケースを取り出す
「…腹は?減ってるか?」
『ペコペコ』
「……じゃあ…とりあえずメシ食って……それから泊まるとこ探すぞ…」
『ウン♪』
彼女はすっかりご機嫌な様子で腕を絡ませてくる
「………アンタ……もう少し緊張感持てよ…」
『……だって…嬉しいんだもん………これから…ずっとハルと一緒に居られるんだよね?』
キラキラと輝く瞳を真っ直ぐに向けて
レイナは答えを待つ
「……」
オレは空いている方の手を彼女の後頭部に添え
胸元へ強く引き寄せた
「………あぁ………これからはずっと一緒だ…」
甘い香りのする髪へ口付けを落とすと
腕の中でレイナが顔を上げる
『…………ハル…………愛してる……』
長い睫毛がそっと伏せられていくのを
静かな気持ちで見つめた
柔らかな唇を味わいながら
心の中で告げる
(……オレも…アンタを愛してる……)