第7章 東京卍リベンジャーズ・三途春千夜
「…三途」
不意に
耳元で名前を呼ばれた
「…鶴蝶かぁ?…どうした?」
「…レイナのことで相談があるんだが…」
ずっと考えないようにしていた名前を聞いて
胸の奥が微かに疼いた
" レイナが全然食事をとらない "
" ずっと寝室にこもって出てこない "
鶴蝶はそう言って
困り果てた顔でオレのアドバイスを求めた
「はぁ?アイツが飯食わねーなんてそんなことあるか?好物出してやりゃ人の分まで食うような女だぞ?」
「そうなのか⁈…レイナの好物って何だ⁇」
メモを手にした鶴蝶に
オレは彼女の好物を次々に教えていった
「パンなら恵比寿にある○○デリのバケットサンド。スモークチキンのサラダをクルトン抜きで、代わりにクラッシュドナッツとパルミジャーノ・レッジャーノを追加でトッピング。ドレッシングはフレンチマスタードが入ったレモンベースで、グラインドしたブラックペッパーを気持ち多めに。六本木のブーランジェリー□□のクロワッサンは朝8:30に焼き上がり。チャウダーもセットで買うこと。但しパセリは抜きで。青山通りの△△のプリンか代々木公園の近くにあるケーキ屋のマカダミアナッツとホワイトチョコチップの入ったクッキーも買って行くと何となく機嫌がよくなる。代々木公園に行くなら水曜日に出るキッチンカーのデミグラスとフレッシュトマトソースが半分ずつかかったオムライスも割と好きだからその時がいい。和食なら神楽坂□△の手毬寿司か銀座◎◎屋の◇◇御膳、中華なら赤坂の…」
「…ちょ、ちょ、待て三途……オマエ…そんなこと全部覚えてんのか?」
「あ?まだ全然言ってねーぞ?」
そう言ってふと周りを見渡すと
蘭や竜胆、ココまでが呆気に取られたような顔でオレを見ていた
「…っとりあえず!明日は恵比寿の○○デリに行ってみるワ……ありがとな三途…また今度教えてくれ…」
「…おー…いつでも聞けよ…」
鶴蝶が行ってしまうと
オレはもう一度目を閉じた
(…レイナは…体調が悪いのか…)
食事をとらず、寝室にこもっているなんて
彼女らしくなかった
(……好きなモン食えば…また元気になるだろ…………あぁ……アイツが入れたコーヒー…飲みてぇな…)
久しぶりに彼女のことを考えながら
オレは
少し眠った