第7章 東京卍リベンジャーズ・三途春千夜
車の中で
オレは一言も口をきかなかった
無性に腹が立って
腹が立って仕方がなかった
レイナが
オレに嘘をついて逃げたことも
オレひとりではとても見つけられそうにないような
遠い場所まで行っていたことも
逃げた先で
勝手にあんな目にあっていたことも
全てが許せなかった
(………アンタはオレ達から逃げるために…散歩に行きたいって言ったのか?………公園でのことは?………あれは…何だったんだよ…)
(……昔あんな所に住んでたなんて話…一度も言ってなかったじゃねーか!……何の手掛かりも残さず……本当に…あのまま消えるつもりだったのか?)
(………しかも…オレの居ねぇところであんなヤツらに襲われやがって…………もし、オレが間に合わなかったらどうしてた?……気付かないで通り過ぎてたら?………オレがあの場所を探し出せなかったら⁇………アンタは……あんな薄汚ねぇ場所で…あんなヘドロみてぇな野郎にやられちまうのかよ…)
(…ふざけんな‼︎……今までどんだけアンタを大切に扱ってきたと思ってる⁈……アンタを傷つけない為に…オレがどんだけ我慢してきたか……何も分かってねーのか!この鈍感女‼︎)
頭の中で
自分の声がぐるぐる回っていた
マンションの地下駐車場に車を停め
彼女の腕を引いてエレベーターに乗り込む
扉が閉まった瞬間
オレはレイナの身体を強く抱きしめていた
『…………ハル…?』
「……………………………バ…カヤロウ……」
『……………………ゴメ……なさ…』
言葉を遮って
柔らかな唇を塞いだ
水音を立てて啄み
そっと離れる
『………ハル……』
レイナは泣きそうな声でオレを呼ぶと
胸に顔を埋めるように抱きついた
扉が開くまでずっと
彼女の滑らかな髪を撫でていた
手を繋いで部屋の前へと向かう
ロックを開けようとすると
errorの表示が出た
何度か繰り返したが
ドアは開かなかった
「……三途…」
振り返ると
ココが立っていた
「………オマエじゃ開かないように認証を変えた……………すまない………マイキーの指示だ…」
「……っ…」
カチャリと音がして
部屋のドアが開いた
そこには
王の姿があった