第7章 東京卍リベンジャーズ・三途春千夜
『ぅわあ〜…やっぱり近くで見ると綺麗〜』
遊歩道の両脇では
満開に開ききった桜がそろそろ終わりを迎える頃だった
ハラハラと雪のように舞い落ちる花びらの下を
手を繋いで歩く
平日の広い運動公園は
人影もまばらで
時間がゆっくりと流れているような気がした
「……上向いて歩いてると転ぶぞ…」
『………だって……夢みたいに綺麗なんだもん…………ハルの髪の毛みたいなピンク色…』
そう言って落ちてくる花びらに手を伸ばした彼女が
フラリとよろけた
『…わぁぁ…』
「…っ…」
繋いでいた手を引き寄せ
倒れかけた身体を受け止める
『…ビックリした…』
「…バカ……だから言ったろ…」
『エヘヘ……ぁ…』
笑ってごまかそうとしたレイナが顔を上げる
彼女は指を伸ばと
オレの前髪に引っかかっていた一枚の花びらを摘んだ
『取れた♪』
そう言った彼女の瞳の中に
自分が映っていた
「……」
何色とも言い表せない
美しいレイナの瞳
オレはその目に引き寄せられるように
顔を近付けていく
『………ハル……』
彼女は顎を上げ
瞳をゆっくりと閉じた
「……」
唇が触れ合う寸前に
オレは動きを止めた
そして
彼女の頬に口付けた後
その小さな身体をそっと腕の中に包んだ
甘い香りが鼻先をくすぐる
それは
まるで媚薬のように脳味噌を痺れさせた
オレは抱きしめる腕に力を入れて
レイナの香りを強く吸い込んだ