第7章 東京卍リベンジャーズ・三途春千夜
「………すいません………すぐに…片付けます…」
オレは立ち上がり
マイキーの腕の中で眠る彼女を見た
皿の破片が掠めたのか
白い頬に
微かに赤い筋がついているのが見えた
「……」
視線の先に気付いたマイキーは
レイナの頬に顔を寄せ
舌を這わせた
「……っ…」
ピチャピチャと水音を立てて
赤い血を丁寧に舐め取ると
マイキーは感情の無い瞳でオレを見上げた
「……何があった?」
「………オレが来た時には……部屋がこんな状態で…」
「……」
「…………ひとりぼっちになってしまったと…泣いてました…」
「……………そうか……」
その時
レイナが目を覚ました
『………ん………ハル…?』
「………………レイナ…………遅くなって悪かった…」
『…マンジロー…』
その声を聞いて安心したのか
彼女は甘えるようにマイキーの首に腕を回した
「………大丈夫だ………オレが側にいる…」
そう言って
マイキーは彼女を抱いたまま寝室へ歩いていく
「……」
リビングにひとり残されて
立ちすくむオレの姿を
レイナは
マイキーの肩越しにジッと見つめていた
廊下を片付け
破れた服を丸めてゴミ袋に詰める
キッチンの床に膝をつき、割れた皿を拾い集めている時
破片で指先を切った
小さな傷口は
次第に血を滲ませる
オレは目を閉じて
その赤い色にそっと舌をあてた