第7章 東京卍リベンジャーズ・三途春千夜
中卒でカフェのバイトをしていた彼女は
その見た目よりもだいぶ若かった
外国人の母親と日本人の父親を持つハーフで
正妻がいる父親の不倫相手だったレイナの母親は籍を入れることができず
数年前に送還された
母国に帰れば貧しい暮らしが待っていると分かっていたレイナの母親は、娘を父親に託した
レイナが肌身離さず身に付けているペンダントは、母親からもらったお守りのようなものらしく
" 命の次に大切なもの " だと彼女はよく言っていた
レイナの父親はカタギの人間ではなかった
敵対する組同士の抗争で命を狙われ
人質にするために彼女は自宅から拉致された
レイナを攫い、事務所に監禁しようとした組織に
たまたま梵天がカチコミをかけたのがあの夜のことだった
このマンションに連れて来られた日
彼女は自分をここで囲う代わりに
父親の行方を探し、保護して欲しいとマイキーに頼んだ
マイキーはその条件を受け入れ
ふたりの間で交渉は成立した
はずだった
彼女の父親が既に殺されていたことは
調べるとすぐに分かった
けれど、このことはレイナには口止めされ
彼女は何も知らないまま、父親の無事を願って毎日を過ごしていた
彼女がこのマンションで生活をするようになってから
数ヶ月が過ぎたある日
どうしても手が離せない用事でレイナの食料を部下に届けさせたことがあった
戻ってきた部下は、彼女から " 父親の死を昨日ボスから聞かされた " とカマをかけられ
ポロリと真実を話してしまったとオレの前で震えながら土下座した
何とか弁解しようと急いでマンションに向かったが
意外なことにレイナの態度は落ち着いていた
『ずっと気になっていたから、教えてもらえてむしろスッキリした』と穏やかな表情を浮かべた彼女を見て
オレは
そんなものなのかも知れないと思った