第7章 東京卍リベンジャーズ・三途春千夜
『……っ…』
「……アンタはオレらの顔を見てる……ここで暮らすのが嫌だってんなら…いますぐ死んでもらうだけだ…」
『………分かった……やればいいでしょ………こんな所に囲われるより…その方がずっとマシよ!』
女はそう言うと
胸元のペンダントを握りしめ、覚悟を決めたように目を閉じた
『…〜…〜・〜……〜〜……〜…』
小さな声で祈るように呟く
微かに聞こえた言葉は日本語ではないようだった
「……」
その時
オレの携帯が鳴った
「…マイキー…」
「…どこに居る…」
オレは
王に居場所を伝え通話を切った
「……死にたがってるとこ悪ィが…アンタを今殺すわけにはいかなくなった…」
『…ぇ…』
「……すぐにシャワーを浴びろ……タオルとバスローブは戸棚の中にある…」
何が何だか分からない様子の女をバスルームに押し込み
各部屋を隅々までチェックした
異常が無いことを確認し終えた時
ちょうど玄関のドアが開いた
「…マイキー…女はいまシャワーを…」
「…分かった。……三途……オマエは今日はもういい…」
「………ぁ……」
さっきの女の様子が気掛かりだった
(……やっぱり…殺しときゃよかった……暴れたとかなんとか…理由なんてどうにでもなったのに…)
マイキーの前でも
面倒くさいことを言ってゴネ出すかも知れない
(……でも……まぁ…そうなったらマイキーが自分で始末付けるだろ…)
少し考えた結果
オレはそう思い直した
「………うっす。……着替えと食料調達して…明日の朝また来ますよ…」
「…あぁ…」
リビングへ向かうマイキーの背中を遮るように
オレの目の前で玄関のドアが閉まった
次の瞬間
女にスーツのジャケットを貸したままだったことを思い出した
「………………………チッ…」
舌打ちをして鉄の扉に背を向けたオレは
歩きながらポケットから小さなケースを取り出し
中に入っていた錠剤を一錠、口の中に放り込んだ