第1章 出会い
「…ここの夫婦が売ってるんだよ、娘を。」
……嫌な予想というものは、当たるものだな。
彼は嫌悪感たっぷりの表情で男性を見た。
「し、しょうがないだろ!?彼女でしか出来ない事もあるんだ!俺は悪くない!!!」
少女を指さして、男性は再び吠える。
彼女でしかできない事…?
彼は少女と男性を交互に見て、疑問符を浮かべた。
その顔を、知りたいんだろ?仲間になりたいんだろう?
と斜め上の汲み取りをした男性はにやりと笑って言葉を続ける。
「彼女は無痛症さ!何をしても痛がらない!ほら、見ててくれ!!」
男性は興奮して顔を赤くしながら、サイドテーブルに置いてあるメスを手に取る。
そのまま、全裸の彼女のお腹にそのメスを添えた。
まさか、と思ったと同時にそこから赤い血がつぅっと垂れる。
男性は興奮冷めやらぬ顔で、その血に舌を這わせた。
「おまえ、何をして…」
「痛くないから出来るんだ!こんな事、妻にもできないし、他の女にも出来ない!!彼女だから出来る!!!」
毎月の楽しみさ!!!と声高々に叫ぶその様は、まるで狂人。
薄気味悪ささえのぞかせるその顔に、吐き気が襲う。
ほら、と男性は手に持ったメスを今度は彼女の二の腕にあてがい、突き刺した。