• テキストサイズ

幸せの生き方 ※名探偵コナン 安室透落ち予定

第2章 初めまして



自問自答を続ける安室の手を、少女は少しだけ強く握った。

それに反応して、伏せていた目を開けると
目の前には笑顔の少女の顔があった。


「……暖かい、ね?」


少しだけ手を上げて、安室の目線にその手を見せる少女の顔は
先ほどまでの話など忘れてしまったかのように、少し嬉しそうだった。


「沢山の人と、手をぎゅってしたけど。安室さんの手はちょっとだけ冷たくて。でも、暖かくなったね。」


嬉しいね、と続ける少女を見つめる安室の瞳から
一筋の透明な涙が頬へ滑り落ちた。

少女はびっくりした顔をして、空いているもう片方の手で
安室の頬を撫でる。

人の手を冷たいと言いながら、君の手も冷たいじゃないか。
そう心で思いながら、その冷たさを心地よいと感じていた。


「……名前、僕がつけてもいいですか?」

「……え?」


自然と、口から出ていた言葉に安室自身も少し驚いていた。
どうして貴方が?と不思議そうにこちらを見つめる少女に、安室は視線を合わせる。


「人に名前を贈れる程、大した人間じゃないんですけど。もし貴方さえよければ。」


そう困ったように笑顔を向けると、少女は少し首を傾げた。
頬から手を離し、少女はその手をいまだ握られている二人の手に重ねた。


「……安室さんが、私の大事な人になってくれるの?」

「……えぇ。任せてください。」


肯定すべきか、一瞬悩んだ。
元は殺そうとしていた相手に、大事な人は僕ですよと
そう言っていいのか。

それでも肯定したのは、少女に少しだけでいいから
普通の感情を持ってほしいと思ったから。

いつか、少女の両親を殺したのが僕だとわかるとき。
少女から恨まれるだろうけれど。

それでも。
そのわずかな間だけでも。

少女の心を少しでも、支えられたら。

そんな高尚な考えを持ってしまった自分に、少し苦笑いしそうだった。
/ 18ページ  
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp