第1章 出会い
「今日はどうしようか…」
扉の前に着くと耳を近づけて音を探る。
中からは中年だろうか。
男性の声だけは聞こえてきた。
「久しぶりだから、楽しみたいんだよね。」
ねっとりとしたしゃべり方。
誰かに話しかけているように感じるが、返答はない。
気持ち悪いその声に、またため息が出そうになる。
こいつが部下の報告にあった、来訪者か。
彼には申し訳ないが、不運だったと思ってもらおう。
心の中で申し訳ない、と断りを入れてドアノブを握り
勢いよく開けた。
途端に目に眩しい光が入ってくる。
銃を持ってないほうの手で影を作りながら、目当ての男性を見つける。
部屋は思ったよりも狭く、ベッドと鏡台。
ソファーと机というこじんまりとした内装。
この豪華な屋敷とは不釣り合いともいえる、質素な物。
そのベッドの上に、目的の男性を発見した。
銃を構えて男性を睨みつける。
突然の訪問者に、男性は驚愕の表情を浮かべてこちらを見ていた。
……全裸で。