第57章 バタービール
「ホグズミードって、どんなとこだった?どこに行ったの?」
ハリーに聞かれ、ミラたちはホグズミード村の外装や寄ったお店などをハリーに詳しく話して聞かせた。
「ハリー、郵便局ときたら!二百羽くらいふくろうが居て、皆んな棚に止まってるんだ。郵便の配達速度によって、ふくろうが色分けしてあるんだ!」
ロンが興奮気味に話した。
「『ハニーデュークス』に新商品のヌガーがあって、試食品を無料で配ってたから少し入ってるよ」
ミラは新作のヌガーを取って見せ、ハリーの手渡した。
「わたしたち、《オグル(人食い鬼)》を見たような気がするわ。『三本の箒』には、まったくいろんな者たちが来るの----」
「《バタービール》を持って来てあげたかったなあ。身体が芯から温まるんだ。そしたらミラが…いたっ!」
ミラは持っていた蛙チョコレートの箱を、ロンの額に勢いよくぶつけた。
「ロン、私、間違って蛙チョコレート買ったからあげるよ」
「今の絶対"あげる"人の投げ方じゃなかったぞ?!」
ロンが額を押さえながら抗議する。ミラは無言でロンを睨みつけた。
その視線からは、「余計なことを言ったら呪う」という意思がはっきり伝わってくる。
ロンは思わずゴクリと唾を飲み込んだ。
「……なんでもない」
そう言って視線を逸らす。
「ロン、ミラがどうかしたの?」
ハリーが不思議そうに尋ねる。
「いや、本当に何でもないんだ」
ロンは慌てて首を振った。
「なあ、ハーマイオニー?」
「ええ。何でもないわ」
ハーマイオニーも即座に同意する。ハリーはますます怪訝そうな顔になったが、三人とも話す気がないらしい。
結局、ロンはぶつけられた蛙チョコレートの箱を拾い上げると、
「……理不尽だ」
と、小さく呟きながら箱を開けた。
その様子を見て、ミラはようやく少しだけ機嫌を直したのだった。