第57章 バタービール
「なんか……変……クラクラする」
ぽつりと呟いた。
その瞬間、力が抜けた。
ごとり、と額がテーブルにつく。
「ミラ!?」
ハーマイオニーが椅子を引く音が響く。ロンも慌てて立ち上がった。
「おい、大丈夫か!?」
しかしミラは返事をしない。眠っているわけではない。目はうっすら開いている。ただ、完全に力が抜けていた。
「ん……」
かろうじて声が漏れる。真っ赤な顔のまま、ミラはテーブルに突っ伏していた。
本人も異常を感じているらしく、眉だけが困ったように寄っている。
「どうしよう……」
ハーマイオニーは不安そうにミラを見た。
「病気じゃないよな?」
「熱はなさそうだけど……」
二人が慌てる中、ミラはぼんやりとした頭で考えていた。
(……悪い感じはしない、けど……頭を支えるのもめんどくさいな…)
再びぐらりと視界が揺れ、ミラはテーブルに頬を押し付けたまま動けなくなってしまった。
「ロン!急いでお水を持ってきて!」
ハーマイオニーが声を上げた。
「えっ、あ、ああ!」
ロンは椅子を蹴るように立ち上がると、慌ててカウンターへ駆けていった。その間も、ミラはテーブルに突っ伏したままだった。
「ミラ?聞こえる?」
ハーマイオニーは心配そうに肩へ手を置く。
「……ん……」
返事はあった。だが、いつものミラとは明らかに様子が違う。