第9章 【第六講】留年するなら三年生で生徒会長になるのもアリかもね
生徒会長選挙、前日。
○○は今日も教室で昼食をとっていた。
額には前日の負傷の勲章、絆創膏が未だ燦然と輝いている。
「委員長、大丈夫ですかね」
山崎はテレビに目を向けて心配そうな声を出す。
本日の昼食のお供は山崎だ。
「大丈夫か大丈夫じゃないかっていったら、大丈夫じゃないんじゃない?」
あの人の人生そのものが。
近藤勲という男の生き様そのものが、大丈夫とは思えない。
「ま、土方くんと沖田くんが頼りだよね」
近藤をフォローするのが、あの二人の役割だ。
他の候補者、新八はわからないが、他の候補者は相手にならないだろう。
九兵衛は勝手に立候補の届出をされたために本人にやる気はない。
エリザベスはそもそも銀魂高校の生徒ではないのにナゼ立候補できているのかがナゾだ。
桂のような異質な3Zにおいてもなお異質すぎる男が当選するようなことがあれば、○○は転校を決意する。
「あ、始まりました」
○○もテレビ画面に目を向けた。
今日のお昼は、生徒会長選挙立候補者の激論が校内放送で流れることになっていた。
近藤の応援で沖田と共に出演するという旨を、○○は土方から聞いている。
「ちょっと、アイツ何してんの。評判落ちるよ、アレ」
テレビに映し出されたのは近藤と、応援で駆けつけている沖田と土方。
土方はカメラに向かってメンチを切っていた。
「応援に行ってるの? 足引っ張りに行ってんの? ちっとも頼りになってないよ」
担任、銀八を司会者に据えて行われたこの激論は、一言で表せばバカの見本市。
ノリについて行けず、言葉を発さない九兵衛のみがまともに見えた。