第9章 【第六講】留年するなら三年生で生徒会長になるのもアリかもね
「委員長、当選できますかね……」
山崎は顔を曇らせる。
「さァねェ」
救いなのは、どいつもこいつも近藤と同じく生徒会長には向いていないということだ。
「これもう、ほとんど白票が投じられるんじゃないの?」
この中から誰かを選ぶなど、至難の業。
3Zの生徒以外は投票をボイコットするのではないか。
そんな中、最後の最後に自己PRを行った生徒だけが、まともな選挙公約を述べた。
彼は3Zの生徒ではない。二年生だ。
3Zの強烈キャラの後ろに隠れ、今の今まで存在すら気づかれていなかったが、彼の話は生徒達の心を打った。
敵対勢力である立候補者の面々すら、彼に拍手を送っている。
山崎は感動で目を潤ませていた。
「私、近藤さんに投票しよーっと」
○○はタコ様ウィンナーを頬張った。
モグモグと咀嚼する○○を見つめ、山崎は目を見張る。
「ええええ! ○○さん、今の話を聞いてなかったんですか!?」
「聞いてたよ。聞いてたから、近藤さんに投票するんだよ」
あの分だと、近藤自らも後輩男子に票を投じるだろう。
新八も、土方も沖田も、妙と神楽、桂とエリザベスまでもが彼に拍手を送っていた。
「次期生徒会長は彼に決まりだよ」
この銀魂高校の生徒達がまともな感性の持ち主であれば。
3Zの生徒はわからないが、一年と二年、三年のZ組以外の生徒も必ずや彼に清き一票を入れるだろう。
「あれでも近藤さんも頑張ってたからね。応援も手伝えなかったことだし、一票くらいはお情けで票を入れてもバチは当たらないでしょ」
翌日、選挙の投票結果を見て、○○は笑顔を浮かべた。
銀魂高校の大多数はまともな感性だ。圧倒的票数で、二年生の彼が生徒会長に選任された。
【第七講 前半】へ続く→