第9章 【第六講】留年するなら三年生で生徒会長になるのもアリかもね
「留年するしないはわかりませんけど……」
ナゼ生徒会長に立候補したのかという新八の問いに土方は答えた。
近藤が生徒会長になれば、風紀委員の権限が大きくなる。
沖田や山崎も近藤の選挙活動を手伝っており、風紀委員総出の一大事イベントとなっている。
「私、何も聞いてないよ」
そんな中、○○は何も聞かされていなかった。
「□□は剣道部の大会がちけーだろ」
「選挙活動は俺達に任せて下さい」
山崎が胸を張って答える。
「それは助かるよ」
生徒会長選挙の演説期間は、大会までの残り期間とモロ被りしている。
委員長の応援はしたいが、手が回る状況ではない。
アレ? と○○は首を傾げる。
「なんで剣道部の大会のこと知ってるの? 言ったっけ?」
○○は風紀委員の面々に目を向けた。
大会のことをクラスメイト等に話した覚えはない。
先程新八に話したのが初めてだった気がする。
「俺はトシに聞いた」
「俺も土方さんに聞きやした」
「俺も」
近藤、沖田、山崎も、土方に目を向ける。
「あー……イベントごとは俺等、風紀委員の出番だろ。それくらい把握してるに決まってんだろ」
「大会があるのは市民体育館だよ。会場で警備するつもり?」
「いや、剣道部員達を会場まで送り届けるための護衛? みたいな?」
「いや、そんなの必要ないし」
近頃、○○が普段以上に部活に励んでいることに土方は気づいていた。
剣道部の情報を手に入れた土方は、もうじき大会があることを知った。
○○の晴れ舞台を応援に行こうと、人知れず会場を訪れようと思っていたことは誰にも秘密である。